ピル、子宮内避妊器具（IUD）、避妊パッチなど：数ある避妊法を理解しましょう

避妊法ってよく分からない．．．そんなふうに感じていませんか？それはあなたのせいではありません。避妊にはさまざまな方法があるので、困惑してしまうのも当然です。でも、安心してください。専門家によると、いくつもの選択肢があるというのは、実は良いことなのです。

「女性は平均的に、人生で5年間は妊活、妊娠、授乳を行っています。」 と、ボストン大学産婦人科助教授ケイト・ホワイト氏は述べます。 「それはつまり、女性は平均的に約25年から30年は避妊していることになります。このような理由から、避妊に多くの選択肢があるのは良いことなのです。人生のタイミングにより、適切な避妊法が変わってくることもあります。」

最もよく使用される避妊法の多くには、ピルやパッチ、インプラントなどの形式でホルモンが含まれています。しかし、このような方法は避妊以外にも使用されています。医師の慎重な監視のもと、ほかの健康問題の治療や、生理不順の治療に利用する女性もいます。

検討している避妊の種類や理由が何であれ、どのような選択肢があり、それぞれの方法が生理周期にどのように影響するのかを理解することは重要です。以下を読んで基本を理解しましょう。

ホルモンによる避妊法

ホルモンによる避妊法は、卵胞ホルモンや黄体ホルモンを使用して、排卵を止め、子宮頚管粘液を濃くして精子と卵子が受精するのを妨げたり、子宮内膜を薄くして受精卵が着床しないようします。

では、数ある選択肢のすべての中からどの方法を選択すればいいのでしょうか？「避妊法を選択するにあたっては、生理にどのような影響があるのか、どの程度プライベートなものなのか、自分で自由に始めたり止めたりできるのかなど、考慮すべきことはたくさんありますが、避妊法の効果というのも多くの女性が重要視する点の1つです。」と、ホワイト氏は語ります。「あなたにとってこれらのすべてが同じだけ重要だということもありますので、避妊の効果だけでお医者さんに話をさせないようにしましょう。セックスをしない日を含め、毎日、避妊と付き合って行く必要があるのですから、あなたの生活やライフスタイルに合った方法を選ぶようにしてください。」  

以下では、ホルモンによる避妊法を3つに分類しています。それぞれの避妊法に特定のリスクがありますので、決断する前に、どのような副作用が出る可能性があるのかを医師に確認することが重要です。

• 注射：この避妊法は、3ヶ月ごとに腕または臀部に黄体ホルモンを注射する方法です。（一般的な使用による避妊効果：94 ％）
• ミニピル（POP: Progestin-only Pill）：1日1回服用するミニピルは、排卵を妨げ、子宮頚管粘液を濃くすることで、精子が輸卵管や子宮に入りにくくします。ミニピルは通常の生理周期を変化させるので、次の生理までの間に不正出血が起こることがあります。（一般的な使用による避妊効果：91 ％)
• 混合型ホルモン避妊法：この方法には、子宮の粘液を厚くして、排卵を抑制する合成された卵胞ホルモンと黄体ホルモンを組み合わせたピル、パッチ、リングが含まれます。この方法は、ホルモンによる他の避妊法にはない血栓のリスクがあります。（一般的な使用による避妊効果：91 ％）
  • 混合型経口避妊薬（COC、通称「ピル」）：混合型ピルは通常1日に1回服用するものですが、その種類はさまざまです。どのような選択肢があるか医師から説明を受けてください。
  • 避妊パッチ: 薄いプラスチック製のパッチを下腹部、臀部、上半身、または外腕に貼り、ホルモンを皮膚から血液に吸収させます。現在、米国では、FDA認定の利用可能なパッチは Xulane のみです。
  • 避妊リング: 薄くて柔らかいリングを膣に挿入します。1回の装着で3週間膣内にホルモンが放出されます。現在、米国では、FDA認定の利用可能なリングは NuvaRing のみです。

どのタイプを使用する場合も、ピルやパッチ、リング内のホルモンが生理周期を司り、生理の状態を変えていきます。女性の身体は一人ひとり異なりますが、一般的な副作用として、生理時以外の出血（不正出血または破綻出血）があったり、生理が軽くなったりします。生理が来なくなる女性もいます。これは、ホルモン避妊法により排卵が阻止され、子宮内膜が厚くならないためです。

ホルモン避妊法を使用している間、毎月出血があったとしても、それは正確には「生理」ではありません。ホルモンレベルが自然に低下した時に起こる生理とは異なり、避妊による出血は「消退出血」と呼ばれ、通常ピル、パッチ、リングを使用している間の1週間の休薬期間に起こります。

パッチは1週間貼ったままにし、1週間経ったら貼り替えます（これを3週間連続で行います）。リングは装着してから3週間そのまま放置します。3週間経ったら、パッチまたはリングを取り外し、4週目に消退出血が来るようにします。

同じ理由から、通常ピルには1週間分の偽薬が含まれます。使用する避妊法によって出血が始まる時期は異なりますが、一般的に偽薬を取り始めて2～3日目（または、パッチまたはリングを使用しない週）に始まります。ただし、これにも個人差があり、また、出血の時期も徐々に変化することがあります。  

長期作用型可逆的避妊法（LARC: Long-Acting Reversible Contraception）

LARC には、直接子宮に挿入するものや皮下に埋め込むものがあります。避妊の効果は、99%以上と言われています。ホワイト氏は、「LARC は「いったん付けたら放っておくだけ」の方法なので非常に効果的です。何もしなくていいのに、毎日効果を発揮し続けるのです！」と言っています。仕組みは次のようになっています。

• 子宮内避妊器具（IUD）または子宮内避妊システム（IUS）は、医師が子宮内に挿入するT字形の小さな装置です。IUD は、一度装着すると、3〜10年間持ちます。IUDには2種類あります。
  • ホルモン IUD は、子宮内に黄体ホルモン（合成黄体ホルモン）を放出して、子宮頚管粘液を濃くし、子宮内膜を薄くします。場合によっては、卵巣からの卵子の排出を抑えることもあります。この装置は、すべてのホルモン避妊法と同じように生理に影響を与えます。放出されるホルモンが体内のホルモンをコントロールし、月毎の出血が短くなったり、軽くなったり、なくなったりします。
  • 銅付加 IUD は、精子と卵子が受精しないようにし、まれに受精してしまった場合には、受精卵が子宮で着床しないようにします。銅付加 IUD には、ホルモンが含まれないので、生理の時期は IUD を装着する前と変わらない可能性が高いですが、特に使用を開始してから最初の数ヶ月は、出血の量が増えたり、期間が長くなったり、生理痛がひどくなったりする人もいます。
• インプラントは黄体ホルモンを放出するプラスチック製のロッドで、マッチ棒ほどの大きさです。外科的に上腕の皮膚下に埋め込みます。これは最大3年間、そのまま放置できます。「インプラントは避妊ピルと同じように働き、排卵を止めて子宮頚管粘液や子宮内膜の状態を変化させ、妊娠の確率を下げます。」とホワイト氏は説明します。

緊急避妊ガイド

銅付加 IUD や緊急避妊薬（モーニング・アフター・ピル）は、避妊せずに性交を行った場合やコンドームが破れてしまった場合などに、妊娠を防ぐために使用できます。

• 銅付加 IUD は緊急避妊法で最も効果が高く、避妊せずに性交を行ってから5日以内に挿入する必要があります。
• 緊急避妊薬は通常、1回だけ服用するホルモンピルです。排卵前にこのピルを飲んだ場合は、子宮頚管粘液を濃くして、少なくとも5日間は排卵を遅らせるか抑えて、子宮または輸卵管に侵入した精子の受精能力が失われるまで時間を稼ぐことができます。排卵後に飲んだ場合には、妊娠してしまう可能性があります。

妊娠を防ぐために緊急避妊薬を服用した場合、時期は前後にずれることはあっても次月までに通常の生理が来ます。場合によっては、不正出血を伴うことがあります。緊急避妊薬を服用してから6週間経っても生理が来ない場合には、妊娠検査薬を試すか、医師の診察を受けることをおすすめします。詳しい情報は、「避妊の次善の策：緊急避妊薬について知っておくべきこと」に記載されています。これらの避妊法では性感染症を防ぐことはできませんので、コンドームは必ず用意しておきましょう。